人気ブログランキング | 話題のタグを見る

instagramやtwitterで日々流している美容情報を定期的にまとめアップすることにしました。リアルタイムで情報キャッチしたいかたはスマホでinstagramまたはtwitterのtwi_tkmkをフォローくださいませ ( 渡辺佳子 )


by tekumaku_w

映画部〜試写会「シャネル&ストラビンスキー」(2)


試写会用のパンフ、表紙はこんなにシンプルな作りです。

映画部〜試写会「シャネル&ストラビンスキー」(2)_b0286136_13442145.jpg



さて、今日続編としてお話したいのはシャネル社の協力の部分。カール様が特別にドレスを作ったことは昨日書きましたが、そのドレスとは、「春の祭典」演奏に出かけたときココが着用している刺繍がほどこされたイブニングドレスです。


それだけでなく、カール様は衣装やココの装いについて助言もしたとのこと。さらにさらに、なんとココ自身のプライベートワードローブも開放してくれたのだそうです。この厚意に衣装担当者が飛び上がったと監督コメントに書かれています。そりゃそうですよね。私なら卒倒するかも。


そして、ホテルリッツでの場面が出てくるのですが、その場面の撮影用にココが大事にしていた所持品を使うことも許されたそうなのです。おぉ。あの場面かぁ。それを聞いたらまた見たくなりましたよ。


そして、普段は開放されずに守られている、カンボン通り31番地のココ シャネルのアパルトマンでの撮影まで許可されたのだそうです。

ココのアパルトマンはカンボン通りのブティックの真上にあります。2Fがオートクチュール顧客のためのサロン。そこから、映画に出てくる何枚もの細い長い鏡をつなぎあわせた壁沿いのらせん階段をのぼってあがる3Fに、ココの部屋がありました。この階段の下のほうでコレクションを見るココの写真が残っています。モデルたちと一緒の記念写真もあります。


その上の4階はお針子さんたちのスペースだとか。お針子さんたちとのやりとりが映画で出てきますが、このときのココに扮したアナのしゃべりかたや声が(私はココの肉声やしゃべりかたを聞いたことはないけれども)、全く、ほんとに、ココ シャネルはこのまんまだったんじゃないかと思う迫力と毅然たる雰囲気とで、とても印象的でした。


ある特定の有名人を演じるとき、似ている、似ていない、または似せる、似せないというのは実はあまり大きな部分ではなく、大事なのは、その人の人となりを観客に伝えることができるかどうかなんじゃないか、と私は思うのです。

そういう意味では、別の映画ですが、ピアフの完璧な全くそっくりさんに変身したマリオン・コティヤールの場合、本人をはじめ、周りのメイクさんとか衣装さんとかの執念みたいなものは感じられたけれども、そこから先、ピアフの人となり、どんな思考回路持っていて、どんな感情を持った人だったのかがあまり伝わってこなかったので、アカデミー賞とってましたけど、私はあまり楽しめなかったのですよね。

対して、この映画では、アナが、シャネルはこういう生き方の人だから、こういうしゃべりかたでこういう発言をして、こういう立ち方をして、こういう歩き方をするし、悩むときにはこんなポーズをして、人を切るときにはこういう拒絶のしかたをして・・などなど、一連のココ シャネルならではのオトコマエな心の奥までを理解して演じていた気がするのです。

それはアナがシャネルのミューズとしてココ シャネルという人を以前から理解していたことからくるのかもしれないし、アナという人がとても洞察力のある人だからかなのかもしれない。はたまた、監督や演出家の思考に奥行きがあるからなのかもしれないんだけど。

ココ シャネルは「アリュールのある人だ」といわれたといいます。アリュールとはシャネルの香りの名前にもなっているけれど、非常に日本語にしづらいフランス語で(というのも、たぶん日本ではそういう女性であることが求められていないからなのかなと思う)

なんとか訳せば、雰囲気とか、オーラとか、そんな単語に無理矢理なってしまうのだけれども、それがアリュールという語感そのものをビシッとあらわせれているわけではないのです。

ところで、この映画の中でココを演じているアナにはまさしくアリュールがある。



それはしっかりと自立した女性であること、いや、自立した女性である前に個として考えを持ち独自の存在であることが求められるのがフランスです=それだから「我思う、ゆえに我あり」なわけで、個として存在感があるかどうか、これがアリュールの基本だと思うんです。だから、背景になじんでしまわず、エッジが立って輪郭が強いといいますか、ここに誰とも違うワタクシがいるのだという明白な存在の主張こそ美しいわけです。日本だとむしろ世間になじむほうがヨシとされてますので、アリュールという単語の概念がなく、翻訳できないのも仕方ないことですかね。


で、ゆるぎのない信念に基づいて行動する、人の才能を見抜く目を持っている、決して後ろはふりむかない、そんなマドモアゼルの人生そのものから来る魅力がアリュールにさらなる味づけをする。

アナの言動からはそれが伝わって香ってくるのです。だから私はこの映画、とても心に残りました。

音楽マニア的にいうと1913年の伝説的なストラビンスキーの「春の祭典」の公演が忠実に再現されているのもみどころ。この映画には原作があり2003年にイギリスで発表された「Coco & Igor」。本作は今年のカンヌ国際映画祭のクロージング作品として上映されたばかりのもの。

日本公開はちょっと先で2010年お正月第二弾ロードショーとのことです。(@シネスイッチ銀座 @Bunkamuraル・シネマ)


PS今日はモジモジ日記ですみません。ま、たまにはね。明日から10月! 芸術の秋ですし。
by tekumaku_w | 2009-09-30 21:09 | 発表会だより